Eagle Eyeメーカー キリングループ様 キリングループのEagle Eye活用とID-POSマーケティング

Eagle Eyeメーカー

◆本事例は、2022年9月に『TECH+』で掲載された記事よりご紹介します。
「ビジネス情報サイト『TECH+』でキリングループ様の事例を紹介」



キリンが新たに始めたID-POS マーケティング

 ポイントカードなどの顧客 ID に紐付いた購買データを "ID-POS" と呼ぶ。顧客の購買傾向を把握できる ID-POS は、効果的なマーケティングデータとして、今、大きな注目を集めている。

「店舗と市場の ID-POS を比較することで、新たなマーケティング提案ができないだろうか?」

 大手飲料メーカーであるキリンの営業担当者が、小売店からこんな相談を受けたのは2018年のことだ。自社の購買データを見るだけでは、その店舗が独特なのか、それとも市場が伸びているのか、判断が難しい。当時キリンHDで調査分析を担当していた横山圭氏は、 ID-POSによる市場分析ツールの検討を始めた。

 そして数社で比較検討した後、横山氏が採用したのは、年間6,000万人規模の ID-POS データと連動した分析ツール "Eagle Eye" だった。True Data の提供する同ツールを選択した理由について、「データ量の豊富さ」が決め手になったと横山氏は語る。

「 Eagle Eye は全国のスーパーマーケットとドラッグストア、両方のデータを扱うことができます。売れる商品やヒットするタイミングなどは業態によって異なりますから、市場分析には両方を見ることが必要です。スーパーマーケットだけ、ドラッグストアだけ、の ID-POS パネルデータサービスもあったのですが、業態ごとに別のサービスを契約するよりも Eagle Eye を選んだ方が、業態間の比較や操作方法の習熟など様々な面でメリットが出せると判断しました」(横山氏)

 True Data による研修を経て、キリンHD ならびにキリンビール・キリンビバレッジ・メルシャンなどの事業会社は、Eagle Eye をスムーズに導入していった。

(写真右側より キリンビール株式会社 横山氏、 株式会社 True Data 竹村)

Eagle Eye の活用法

 現在、 Eagle Eye は3つの方法で活用されているという。

「メインで使っているのは、導入のきっかけでもある『小売店への提案』です。市場と比べて、この店舗の購買傾向はどうなっているのか。販売商品や購入量の差異をデータで見比べることによって推測し、それをもとに新たなプロモーション提案ができるようになりました」(横山氏)

 こうした個別の商談用とは別に、キリンの「営業資料テンプレート」を作る際にも Eagle Eye は使われている。「その商品を買った人は、他にどんな商品を買っているのか?」という組み合わせを分析することによって、効果的なセット販売を可能にしているのだ。

「Eagle Eye を使えば、『この商品はどのような商品と親和性が高いのか?』 といった、商品ごとの親和性が明確になります。それを営業資料のテンプレートに使うことによって、陳列や提案の参考にできるデータを提供できます」(横山氏)

 3つ目の活用法は、戦略立案だ。現在、キリンはヘルスサイエンス領域を事業の柱にすべく力を注いでいる。免疫細胞を活性化させるキリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を使った商品を売るには、どのような販売戦略を持つべきなのか。飲料や酒に関する市場理解は深いものの、サプリメントや健康食品については未知の世界だった。

「健康分野についての理解を深めるために、 Eagle Eye による分析を使いました。たとえば『ヨーグルトをよく買っている人は、どんなお菓子を買うのか』といったデータから、健康志向のお客様が『買うもの』『買わないもの』『価格帯』などを見出すことができるのです。そうすれば、ターゲットとなる人物像が明確になっていきます。EagleEye は新たな戦略を立案するうえで、その一部を担ってくれました」(横山氏)

顧客像を明確にすることで、高精度なマーケティングが可能に

 Eagle Eye によって、小売店のニーズに即した提案ができるようになったことの重要性を、横山氏は強調する。

「キリンの提案を聞いてもらうためには、『キリンの営業担当者は市場をよく理解している』と思ってもらうことが重要です。『この商品を買っているのはこういうお客様です』『この商品が伸びないのはここで離脱しているからです』など、店頭で起こっている事実を高い確度でお伝えして、良い提案をするために、Eagle Eye は助けとなっています」(横山氏)

 Eagle Eye は Google Cloud 上で稼働する SaaS 型の分析ツールである。その機能面や安定性について、横山氏は次のように評価する。

「通信状態は安定しており、普段使いでストレスを感じることはありません。Eagle Eye を導入してもう4年になりますが、どんどん改良されていくのが良いですね。商品マスタを自社分類に合わせて登録できる機能がとても便利です。分析手法としては『売上分解ツリー』が鉄板メニューです。 これを使えば、この商品を何人がどれだけ買っているのか? といったことをすぐに見ることができます」(横山氏)

 そして横山氏は、マーケティングにおけるデータ分析・活用の重要性を次のように展望した。

「お金を払って物を買っているという事実は、お客様理解のために欠かせないデータです。コロナ禍で生活がどう変わったのか、といったこともすぐに見えてきます。世の中の変化のスピードは極めて速くなっていますから、購買傾向をタイムリーに捉えるために、これからも取得できるデータを分析に活用していきたいと思います」(横山氏)

ビッグデータ分析を身近にするサービス「Eagle Eye」

 「データと知恵で未来をつくる」をパーパスに、データマーケティングサービスを提供するのが True Data だ。高齢化・人口減少・コロナ禍・気候変動といった激変にさらされる市場の姿を、ビッグデータ分析によって鮮明にする支援をしている。

 True Data は日本最大級の ID-POS データをカバーしており、その規模は年間アクティブ会員数6,000万人規模、年間4.8兆円にも上る。このビッグデータをもとに同社が提供している分析サービスが Eagle Eye である。

 インストールを必要とせず、ブラウザ上から手軽に分析がおこなえるのが Eagle Eye の大きな特徴だ。10を越えるメニューが初めから用意されており、たとえば「お酒が好きな40代女性はどんな化粧品を好むのか?」といったテーマに対しても、数クリックで高度な分析をすることができる。専門家でなくとも、毎日更新される新鮮なデータによって、市場の「今」を見分けることができる。

Google Cloud を基盤に、ハイパフォーマンスな分析を実現

 Eagle Eye の構築を担当した True Data の竹村博徳氏は、データマーケティングにおける「増えゆくデータ量」「セキュリティ意識の向上」「データ活用範囲の拡大」のそれぞれを見越したうえで、 GoogleCloud を採用したという。

「パブリッククラウドを比較検討し、また社内のアナリストチームが実際に利用した結果、最高のパフォーマンスを見せたのが Google Cloudでした。Google Cloud には "BigQuery" という超高速ビッグデータ分析機能があり、世界レベルのセキュリティ対応が可能で、拡張性の高い先進テクノロジーを使うことができます。次世代のデータマーケティングにふさわしい基盤だと考え、採用に至りました」(竹村氏)

 Eagle Eye を利用するうえでは、ストレスとなる要素を極力減らしたと竹村氏は続ける。

「分析は地道な作業の繰り返しですから、定期作業の自動化や類似条件での分析再実行などができる、ストレスフリーなツールを目指して設計しています」(竹村氏)

 最後に竹村氏は、ツール提供だけにとどまらない True Data のソリューションをこう語った。

「我々 True Data は、データの取得からクレンジング、分析まで、一気通貫したノウハウを有しています。Google Cloud を使った基盤づくりなど、あらゆる側面からデータ活用支援をしていますので、次世代のデータマーケティングを検討されている方は是非ご相談下さい」(竹村氏)

◆本記事は株式会社マイナビの許諾を得て、原文のまま掲載しています。
 掲載内容は取材当時のものです。