2025年シーズンの花粉に関する速報

こんにちは。流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。スギ・ヒノキ花粉の飛散が終わる頃が近づいてきました。みなさんは今季の花粉症の症状はいかがでしたか。私は幸い、今季も花粉症デビューを回避することができたようです。さて、今年も花粉症対策関連商品の検証記事を掲載する時期となりました。今シーズン、事前予想では例年に比べても前年に比べても多くなると言われていましたが、実際はどうだったでしょうか。今年のこれまでの期間の花粉症対策関連商品の購買データから、今季の花粉飛散状況を類推し、昨年との比較を行います。

目薬、鼻炎用薬のデータで検証

花粉症対策になるカテゴリの購買動向から当シーズンの花粉の飛散規模を類推する取り組みは過去4年にわたって行っています(2024年2023年2022年2021年)。今回も同様に、目薬と鼻炎用薬の、北海道を除く地域ごとの購買データを用いて、花粉の飛散状況を検証します(※注 昨年までは購入金額の指数を用いて検証していましたが、昨今の価格上昇による購入金額の上昇効果を考慮し、今年は購入点数の指数を用いることにしました)。

結果

全国における目薬、鼻炎用薬それぞれの買物指数の推移を図表1、各地域における昨年と今年の、売上ピークとなった週の買物指数の比率を図表2にまとめます。

図表1 目薬(上)と鼻炎用薬(下)の週別買物指数の推移(対象:全国)
※全国には、北海道におけるデータも含まれています。
図表2 目薬と鼻炎用薬の買物指数ピーク週の、前年対比
(2024年のスギ・ヒノキ花粉シーズンで最も売上が高かった週の買物指数を1としたときの、同じく2025年シーズンの最も売上が高かった週の買物指数の比率、対象:全国及び北海道を除く7地域)

結果のポイント① 指数が急伸した時期は昨年より少し後ろ倒し

全国の時系列グラフを見ると、両カテゴリの買物指数が前週と比べて大きく伸びるタイミングは、今年は昨年に比べて2週間程度遅くなりました。昨年の2月は、気温が高めに推移した時期が長く、花粉の本格的な飛散開始がやや早まったと考えられ、2月上旬に買物指数の大きな伸びが見られました。それに対して今年の2月は、鍋底型の長引く寒波に見舞われるなど気温が低かった日が多くあり、花粉の本格的な飛散開始がやや遅れたと想定されるため、買物指数の伸びるタイミングも昨年に比べてやや遅れ、2月下旬にずれ込んだようです。

結果のポイント② 日本の東半分は昨シーズン並、西半分は多め

昨年と今年の買物指数の違いから、今年のスギ花粉飛散量の傾向を全国及び地域別に見てみます。今年は地域によって、買物指数の昨年対比に違いが見られました。

地域別に見ると、目薬、鼻炎用薬ともに、中部、関東、東北といった日本の東半分は指数がおおむね1前後で、ほぼ昨年並の値でした。一方、近畿、中国、四国、九州といった日本の西半分は1を大きく上回りました。今年は昨年より売上が伸びたということです。最も売上が伸びた四国の鼻炎用薬は、昨年の約1.7倍となりました。

環境省の2024年12月26日の報道発表によると、今季に向けたスギ雄花の着花量は、地域により大きなばらつきがあり、過去10年の平均的水準と比較して、近畿で特に多め、中国でやや多め、東北で少なめ、とのことでした。それ以外の地方では、西日本で多め、東日本~北日本で平均水準と同程度か少なめであり、目薬・鼻炎用薬の買物指数の昨年対比と矛盾のない結果となっています。

改めてまとめると、今年は地域による花粉飛散規模のばらつきがあり、昨年と比べ、日本の西半分で多め、東半分で並かやや少なめだったものと考えられます。

まとめ

花粉対策関連商品として目薬、鼻炎用薬のこの時期の買物指数を調査したのは今回で5回目です。今年も大変興味深い結果が得られました。ぜひ、来シーズン以降の計画に向けて参考にしていただければ幸いです。

※抽出データ                                   株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている「目薬」及び「鼻炎用薬」カテゴリ(業態:ドラッグストア、期間:2023年4月3日~2025年3月30日、データ抽出日:2025年4月14日)の週次の買物指数(買物指数は来店者100万人における購入点数)。

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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。