【新連載】メーカー企業のための気象&購買データ活用法     第1回 意外と知らない!?業務に使える気象データ3選 

こんにちは。流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。今回から『メーカー企業のための気象&購買データ活用法』として全12回(予定)、主に食品メーカー企業の方々を対象とした、“業務に役立つ”気象&購買データ活用法を月1回程度のペースで公開していきます。是非参考になさってください。

第1回は、気象データの入手法とおすすめのデータについてです。気象庁HPには、気象予報士の私でさえ把握しきれないほどの膨大なコンテンツが掲載され、ダウンロード可能なものもあります。その中から、私がとくに活用をおすすめしたい上位3つをご紹介します。

第3位 世界の天候(こちら

自社商品の原材料(の一部)を海外からの輸入で賄っている食品メーカーも多いのではないでしょうか。日本だけでなく世界で異常気象が頻繁に発生し、また“異常”の振れ幅が大きくなっている中、海外がどのような気候になっているかを逐次把握することは非常に重要です。原材料となる農作物が現地で記録的不作になる兆しがあれば、輸入元の選択肢を増やし、先物取引における参考にすることなどが非常に重要となってきます。一口に世界の天候といっても、その中に様々なコンテンツが含まれています。こまめにチェックすることでいち早く現地の気象状況を把握することができます。

〇日、週、月、季節、年別の気象状況と平年偏差

週別、世界各地の平均気温平年差の例(気象庁HPより)

〇世界の異常気象

月別、世界の異常気象の例(気象庁HPより)

第2位 過去の気象データ・ダウンロード(こちら

様々な分析を行う際、気象データは欠かすことのできないものの一つです。

リアルタイムの状況は「アメダス」などのページで見られることはご存じかもしれませんが、過去のデータも、気象庁による電子化がなされているものは基本的に全て、閲覧・ダウンロードが可能です。こちらのページで、ナビゲーションに従って地点、項目、期間などを選べば、簡単に当該気象データをダウンロードできます。

ただし、1回にダウンロードできる容量的制限があるため、制限をオーバーしてしまった場合は、地点数を減らしたり、期間を短くしたりして、ダウンロードを複数回に分ける対応を行いましょう。

過去の気象データ・ダウンロードページ(気象庁HPより)

第1位 季節予報(こちら

やっぱり1位は、季節予報(長期予報)です。日々の天気予報が、都道府県あるいはそれより細かい単位で発表されるのに対して、季節予報は地方単位であることに注意が必要です。多少粗い情報ではありますが、製造計画、在庫管理、投下・配荷、販促強化時期などの策定の参考になります。季節予報といっても、厳密には3種類の予報がありますので、下表に整理します。

3か月予報の例(気象庁HPより)

3種類の予報は対象期間が異なる部分があるので、それぞれ用途を分けて活用すると良いでしょう。発表形式が、確率分布となっているため、使いにくいという意見がありますが、確率分布から読み取れる情報や行間は、実は結構あります。             次回は長期予報の活用の仕方、行間の読み方を解説します。

※気象庁ホームページについて                          気象庁ホームページで公開している情報は、誰でも、利用規約に従って自由に利用でき、商用利用も可能です。出典の記載等の注意事項は下記の規約をご確認ください。      https://www.jma.go.jp/jma/kishou/info/coment.html

〇「常盤勝美のお天気マーケティングブログ」過去記事はこちら  https://www.truedata.co.jp/blog/category/weather_marketing

〇7月17日発表「暑くなると売れる飲み物&食べ物」に関する調査リリースはこちら  https://www.truedata.co.jp/release20240717/

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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。