こんにちは。True Data流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。今回は麺類の各カテゴリにおいて、売上と気温の関係を見ていきたいと思います。ちなみに私は、生まれも育ちも関東なので、麺類の中ではそばを最もよく食べます。
麺類の分類について
当社True Dataの分類体系では、加工食品の分類の中で、麺類という小分類を設けています。当社サービス「ドルフィンアイ」では以下の7つのカテゴリが属しています。
気温と購入金額の関係
週別の買物指数(金額)と最低気温の週平均の相関係数を求め、表にまとめました(「その他麺類」は、海外の麺料理用の麺など様々な種類の商品が含まれているため、分析対象から除外しました)。相関係数が正(プラス)であれば、気温が上がれば上がるほど買物指数も高くなることを、負(マイナス)であれば、気温が下がれば下がるほど買物指数が高くなることを示します。それぞれ+1と-1が最も強い相関を示し、相関係数が0.5以上または-0.5以下の場合は、はっきりとした相関関係があるとみなして良いでしょう。
例えば生粋のラーメン好きな方は、その日の天気や気温に関わらずヘビーローテーションでラーメンを食べていらっしゃると思いますが、麺類の分類全体で見ると、カテゴリによって気温との関係が結構はっきりと分かれていることが読み取れます。
正の相関が最も強かった「乾麺」は、ざるそばやそうめん、ひやむぎ用に主に用いられるものです。一方、負の相関が最も強かった「カップ麺」は、ラーメン、うどん、焼きそばなどがあります。焼きそばは例外ですが、熱々のスープや汁と食べる商品が多いため、気温が低い時により好まれる傾向があるものと思われます。
もう一つ興味深い結果なのが、「生麺・ゆで麺」及び「スパゲッティ」はいずれも相関係数の絶対値が0に近く、売上に気温の影響はほとんどないということです。
ちなみに、マカロニはそれほど関係性が強くないものの、気温が低い時の方が売上がやや伸びるようです。これに関しては、推論ですが、サラダ用に購入されるマカロニは気温や季節の影響をほとんど受けないものの、グラタンなど冬に好まれるメニューに使われる材料の一つとして、気温が低い時に売上が伸びるということかもしれません。
麺類の、気温MDグラフ!
麺類の分類について、気温と購買金額の関係性を、相関係数の値から図にまとめました。
“暑いとき売れるもの”“寒いとき売れるもの”“気温・季節の影響を受けにくいもの”それぞれ傾向がはっきり分かれ、大変興味深い結果となりました。季節によって売場を拡縮するもの、年間を通して一定規模の売場を確保すべきものとして、是非参考にしてください。
※抽出データ 株式会社True 株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている、「麺類」分類(業態:スーパーマーケット)に属する各カテゴリの、週次(期間:2020年9月7日~2022年9月4日、データ抽出日:2022年9月10日)の買物指数(買物指数は来店者100万人における購入金額)。
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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。