こんにちは。True Data流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。みなさんはどんな時に缶詰を食べますか。一般的には台風や大雨災害など、外出がままならない状況が予想されている時や、ライフラインのストップが懸念される場合などに購入され、そして消費されることが多いでしょう。そんな缶詰でも、種類の違いによって、売上と気温の関係が少し異なる場合があることがわかりました。どういうことなのか、以下に解説していきます。
缶詰分類について
当社True Dataでは、加工食品の分類の中で、缶詰という小分類を設けた分類体系を用いています。当社サービス「ドルフィンアイ」では以下の6つのカテゴリが属しています。
気温と購入金額の関係
週別の買物指数(金額)と最低気温の週平均の相関係数を求め、ランキングで示したのが表です(「その他缶詰」のカテゴリは、様々な食材の缶詰が含まれているため、分析対象から除外しました)。相関係数が正(プラス)であれば、気温が上がれば上がるほど買物指数も高くなることを、負(マイナス)であれば、気温が下がれば下がるほど買物指数が高くなることを示します。それぞれ+1と-1が最も強い相関を示し、相関係数が0.5以上または-0.5以下の場合は、はっきりとした相関関係があるとみなして良いでしょう。
缶詰は、売上が気温にそれほど影響を受けないと考える方も多いのではないでしょうか。詳しく調べると、それほど強いものではないものの、気温との関係性が認められるカテゴリがありました。それが「果実・デザート缶詰」と「野菜缶詰」です。
ここでそれぞれのカテゴリに属する具体的な商品例を紹介します。「果実・デザート缶詰」はみかん、パイン、桃などのフルーツが入っているものや、ナタデココ、タピオカ、みつ豆などが入っているものなど。「野菜缶詰」は、主にトマトやコーン、豆類の入っているものです。
言われてみれば確かに、「果実・デザート缶詰」はそのまま冷やして食べたり、アイスやヨーグルトなどのトッピングに使ったり、気温が高く暑さを感じるときに使われるシーンが多いように思います。
そして「野菜缶詰」はトマト煮など煮込み料理に使ったり、スープやシチューなどの具として使ったりなど、ホットメニューに使うシーンが多く思い浮かびます。
つまりこれらの缶詰の種類は、災害時のための保存食として買われるというよりは、ある料理メニューなどを想定して、その”料理の素”として購買、自宅にストックしておくというパターンが多いということでしょう。
缶詰の、気温MDグラフ!
缶詰の分類に特化し、気温と購買金額の関係性を、相関係数の値から図にまとめました。
ともすると気温と関係しないと思われがちな缶詰ですが、種類によっては多少の季節変動があることがわかりました。是非売場づくりの参考にしていただきたいと思います。
※抽出データ 株式会社True 株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている、「缶詰」分類(業態:スーパーマーケット)に属する各カテゴリの、週次(期間:2020年9月7日~2022年9月4日、データ抽出日:2022年9月17日)の買物指数(買物指数は来店者100万人における購入金額)。
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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。