あらゆる企業が「見えない真実」を見えるように、True Dataの挑戦

ビッグデータ解析というと、大規模なシステムを構築し、分析の専門家を張り付けられる大企業だけのものーーTrue Dataは、そんな先入観を打破し、誰でも手軽に使える形で、データから見えてくる「真実」を提供しようとしています。

旧社名のカスタマー・コミュニケーションズ時代から知見を蓄積してきた当社は、2017年7月に社名を変更しました。同時に「見えない真実を、見に行こう」という新たなスローガンを掲げ、データから得られる力をさまざまな業種、さまざまな規模の企業に提供しようとしています。その狙いを当社代表取締役社長の米倉裕之が語りました。

●購買ビッグデータで見えてくる、今まで見えなかった「真実」

「データからは真実が見えてくる。その真実を手軽に見に行けるようにしたい」(米倉)ーーTrue Dataの社名には、そんな思いが込められています。

True Dataは2000年10月の設立以来、一貫して「データ」を活用した企業のマーケティング活動を支援してきました。その中核となっているのが、5000万人規模という日本最大級のID付き購買データ(ID-POSデータ)を元にしたデータベース「True Data」です。ポイントカードなど顧客IDとひもづいた形で、ドラッグストアやスーパーマーケットにおける生の購買動向を把握できるこのデータベースから見えてくる知見は多くあります。

当社ではこのデータを武器に、企業向けの新たなマーケティング戦略を加速させています。小売・流通、メーカーといった分野はもちろん、金融や政府・自治体など、これまであまりビッグデータの活用が検討されてこなかった幅広い業種での活用が見込まれています。

好例の1つが、急速な高齢化や人口減少といった課題に直面する地域の活性化です。内閣府では地方創生の取り組みの一つとして、ビッグデータのマーケティング活用を提唱しています。当社もこの取り組みに協力し、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が提供する「地域経済分析システムRESAS(リーサス)」に、2016年3月から購買データを提供。地域経済の中で人やモノ、消費動向がどのように動いているかが分かります。「こんな地域活性化策が有効では」「こんな風に流通を最適化できるのでは」といった具合に、自治体の政策立案や地域活性化の取り組みにTrue Dataは活用されています。

例えば、人口減少や高齢化といった多摩地域が直面する課題に取り組む研究プロジェクト「大いなる多摩学会」でも、ビッグデータを有効活用していただいています。この取り組みでは「買い物難民」問題の解決に向け、買い物の利便性を高め、地域住民をサポートすることを目的とし、「True Data」を用いて、地域の学生まで一緒になって地域の消費パターンを研究しています。実店舗の位置や消費者の志向をビッグデータの中から見出し、移動販売の効率化やニーズに応じた最適な販売計画作りなどに生かすことも可能です。このようにビッグデータには「今まで見えなかったものを見えるようにし、できなかったことを可能にするポテンシャルがある」と米倉は述べます。

●ビッグデータは大企業だけのものではない、手軽に使える手段を提供

米倉にはもう一つの思いがあります。「データから真実が見える。だからこそ、その真実を、あまねくあらゆる人が使えるようにしたい。ビッグデータの恩恵を受けられるのは一部の人に限られていたが、それを誰もが享受できるようにしたい」というものです。

ITベンダーが提供する「ビッグデータソリューション」というと、高性能なサーバーと大容量のストレージを組み合わせ、その上で専用アプリケーションと知見を持った専門家が必要、というイメージが強いでしょう。何百万、何千万円という投資が必要であり、結果としてビッグデータ解析の恩恵を得られるのは、それだけの投資を行う余裕のある大企業に限られていました。

しかし、当社は、専門家のいない中堅・中小企業でもビッグデータを活用して「真実」を見出し、市場で大企業と真っ向から戦える環境を作ろうとしているのです。「ナントカ分析など難しいことを知らなくても、小さな企業でも勝てるサービスを提供し、大企業と互角に戦えるようにしていきたい」(米倉)

その一例が、スーパーやドラッグストアなどリアル店舗における消費財、日用品、食品の店頭価格動向や売れ行きを、購買者の属性と組み合わせて把握できるWebサービス「ウレコン」です。無償で利用できるこのサービスを通じて、全国の各地域で、いま何が良く売れているか、どんな人が買っているか、類似商品との比較はどうかといった情報を把握し、販売・マーケティング戦略に活用できます。これまでの経験知を裏付け、戦略の効果を確かめることもできれば、今までになかった新たな法則が見えてくることもあるでしょう。

またWebブラウザから手軽に利用できるデータ分析支援システム「Dolphin Eye」では、特定の商品の売れ行きや競合製品との比較資料を簡単に作成し、Excelなどの形でエクスポートできます。データ分析のノウハウを持たないユーザーでも、カテゴリや商品名を選び、いくつかの項目を入力するだけで、いつ、どんな商品が売れているかを示すグラフィカルなマーケティング資料を作成できる仕組みになっています。月額数万円という価格で提供しているため、専門家がいない会社や規模の小さな会社でも、無理ない支出額で商品の売れ筋、パターンを可視化し、他の商品との比較・分析に活用できます。

●他のビッグデータとの掛け合わせでさらに拡大する可能性

当社強みである「True Data」に、別のビッグデータやトレンドを組み合わせて新たな価値を生み出す「かけ算」にも取り組んでいます。

それを具現化した例の一つが、野村総合研究所が持つエリアタイプデータと購買データを組み合わせた協業サービスです。また、現在開発中の新サービス「商品前線」では、POSデータに基づく売上情報と気象情報を掛け合わせることで、風邪薬やカイロ、ビールやアイスクリームのように、気象・気温によって売上が変動する商品の売上が伸び始める時期を予測し、「桜前線」のように可視化します。

こうした新たなサービスが可能なのも、「感性に頼るのではなく、データを元にしたアクションのための独自のノウハウを持っているから」と米倉は説明。今後も、ベンチマーク商品が想定を超える動きをした時に通知してくれる新機能を追加するなど、データを軸にした新たなアイデアを形にし、提供し続けていきます。

もう一つ、視野に入れているのが、アジアをはじめとするグローバル市場へ進出する企業の支援です。今、多くの企業が生き残りをかけ、海外市場への進出を考えています。今後の成長を考えるならば海外進出は不可避ですが、過去の経験に基づくカンで勝負できた国内市場とは異なり、何かと勝手が異なるはず。そこで大きな味方になるのがデータの力です。「知らない市場でカンが働くかというと難しい。データを見た経営、マーケティングが不可欠であり、われわれはそのための武器を提供していく」(米倉)

True Dataのサービス群はクラウドベースで提供されていることもあり、今後は積極的に国境をまたいだサービスを展開する計画です。

しばしば「百聞は一見に如かず」といいますが、手間をかけてアンケートやモニタリング調査で引き出した声よりも、データ分析によって早く、確実に、「真実」が見えてくる。「実際に分析してみると、データを元にしてこんなことが分かるのか、ここまで分かるのか、と驚かれることが多い」と米倉。True Dataではこれからも「見えない真実を、見に行く」ためのサービスを展開していきます。