山形県酒田市にキャンパスがある東北公益文科大学では、地域や社会の課題に果敢に取り組む人材の育成をめざして、地域の人々と連携した様々な活動に取り組んでいます。課題解決にはデータ活用が必須!ということで、同学では全員がデータを利活用するための基礎知識を学ぶのだそうです。
そんな東北公益文科大学の学生が、データを活用してホームセンター チャンピオン酒田店の売場づくりにチャレンジしました。山形県酒田市とパートナーシップ協定を結ぶ当社は、昨年度に続いてデータ分析や活用ノウハウの提供でこの取り組みを支援。データアナリストたちが学生をサポートしました。2月3日には検証結果報告会が開催され、4か月超におよぶ演習を締めくくりました。今回のブログでは、学生が作った売場とその成果についてご紹介します。
学生がデータと現場で考えた「売れる売場」
この取り組みが始まったのは昨年9月、お題は「年末商戦の売場づくり」です。清掃用品、洗剤などの商品を中心に、大掃除をテーマにした売場を考えることとなりました。学生たちはチャンピオン酒田店のPOSデータと、当社の全国購買データ(店舗や個人がわからないように統計化した市場データ)とを比較して消費傾向を分析したり、実際に店舗を訪れて売場のレイアウトや商品陳列などを視察したり、まさに「データと足」を使って売場づくりのアイデアを考えました。
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その後、棚割り(商品陳列の配置を決めること)、POP製作などを経ていよいよ売場が完成。2024年12月20日から31日までのあいだ、チャンピオン酒田店で学生が考案した売場が展開されました。全体コンセプトは「頑固な汚れも簡単・手軽に綺麗に!!大掃除をした後の時間を楽しもう!!!」とし、手軽に掃除できる商品などを軸に売場展開を組み立てました。
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完成した売場がこちら。学生手作りのカラフルなPOPが目を引きます。
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この陳列棚の向かって右側に注目してみると…
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お風呂洗剤の隣にスナックやクッキー、おせんべいなどのお菓子が並んでいます。これはどのような作戦だったのでしょうか。そしてその成果はいかに⁉
予想を超える売上を達成!
今回学生たちが設定したペルソナ(顧客像)がこちらです。
- 年齢50~70代夫婦子供・孫とは別居(自立している)
- 居住地:平田地区一戸建て
- 職業:現役世代一定の所得あり、通勤時間が一定ある
- 生活パターン:早寝早起きの生活スタイル、恐らく自炊派・習わしを大事にしている系、休日はゆっくり過ごしたい派
- 普段は重点的に掃除をすることができないので、年末にきれいにしたいと考えている
陳列棚は左から①キッチン用の掃除用品②バス・トイレ用の掃除用品③お菓子と大きくわけて3つのゾーンに分かれています。一見意外に見えるお菓子の棚ですが、学生はこのペルソナから顧客の暮らしに思いを馳せ、「大掃除の後には、帰省しているお子さん、お孫さんと一緒にお菓子を食べてゆっくりして欲しい!」と考えて、掃除用品の隣にお菓子を配置したのでした。なんともほっこりするエピソードです。
取り上げる商品は、True Dataの購買データ分析ツール「ドルフィンアイ」で確認した市場データと、チャンピオン酒田店の購買データの両方を確認し、売れ筋商品と店舗のオリジナリティのバランスを考えて検討しました。
店頭販促にもひと工夫。厚手なのにトイレに流せるお掃除シートの良さを伝えるために、実際にシートを触ることができる展示物を作成するなど、随所に工夫をこらしました。
売場で流す紹介動画も学生が自分たちで作成しました。実際に商品を使って鍋の焦げを落としてみたり、お風呂掃除してみたり、はたまたお菓子の食レポにも挑戦したりと学生らしさを発揮。関係者から「メーカーが作る動画とはひと味違う良さがある」と好評でした。
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さて、最終の売上結果は…
なんと、キッチン用の掃除用品、バス・トイレ用の掃除用品、お菓子の3ゾーンともに、対象商品合計の売上が前年を超え、学生が作った売場全体で売上金額が前年に対し約2倍、個数は約1.5倍を記録しました!
「売れた」で終わらないデータマーケティング
大きな成果を上げた学生たちでしたが、「売れた!よかったね!」で終わらないのがデータマーケティング。学生たちは、売場展開を個別商品まで掘り下げてデータを分析し、売れた要因、売れなかった要因を自分たちなりに考えて発表しました。
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発表した学生のコメントをご紹介します。
「売場づくりの軸に設定していた商品が本当に売れて嬉しかった!」
「ペルソナで設定した顧客がお子さまと一緒に来店することを狙って展開した商品が売れなかった。ついで買いの効果は店舗によって異なることを感じた。」
「POPを作成した単価の高い商品が売れた。POP作りは成功!」
「売れた商品をデータで確認し、傾向を把握することができた。」
うまくいったこともいかなかったことも、データで検証することが大事ですね。それぞれに発見と学びがあったようです。
この最終報告会には当社から執行役員の越尾由紀、データアナリストの能勢龍嗣と成瀬柊壱の計3名が出席し、質疑や講評を行いました。最後に3名のコメントを紹介します。
「データを使った効果検証までしっかりとできていました。POPなどの店頭販促も工夫しており、皆さんのメッセージがしっかりとお客様に伝わったことが、好調な売上につながったのではないでしょうか。」(成瀬)
「この演習で学んでいただいた『データを比較して見る』ということや、PDCAをまわすこと、5W1Hのフレームワークは色々な場面で必要になります。ぜひ今後も活用してください。」(能勢)
「前年を上回る売上を達成し、素晴らしい成果をあげました!ここからデータ分析の世界にもう一歩踏み込んで『何と一緒に買われたのかな?』といった疑問がわいてきたら大正解。売場づくりに関しては、一度引いた目で売場全体を俯瞰してみると、お客様の目線で気づくことがあるかもしれません。」 (越尾)
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検証結果報告会の結びに、東北公益文科大学の神田直弥学長が「今回の演習の目的は、データを使って考えることの重要性を理解することだった」とおっしゃっていました。数字の羅列を意味のあるデータに加工する、データを比較して特長をつかむ、仮説を持ってデータを見る――この演習での学びは、まさにTrue Dataが事業を通してあらゆる人びとにお伝えしたいこととリンクしています。
今回の演習を通して、データマーケティングやデータサイエンスに興味を持っていただける学生があらわれたら、とても嬉しく思います!が、そうではなくても、データを味方につけることが、様々な場面で人生を前へ進める手助けになることは間違いありません。貴重な経験をされた学生の皆さんに、輝かしい未来がひらけますことをお祈りしています。
May the “DATA” be with you!!(データとともにあらんことを)
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