今年の夏、True Dataに新たな仲間が加わりました。『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など気象と購買に関する著書を出版し、テレビ情報番組でコメンテーターを務めることもある、流通気象コンサルタントの常盤勝美です。気象を軸としたコンサルティングを専門とする常盤に、今年の猛暑の影響や、これからの気象×購買データ活用について聞いてみました。
流通気象コンサルタント 常盤勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。気象予報士、健康気象アドバイザー、地球温暖化防止コミュニケーター
■流通気象コンサルタントとは?
流通気象コンサルタントとは、スーパーマーケットなど小売業の購買データ(POSデータ)と気象条件との相関をとり、小売業やメーカー企業に対してさまざまなアドバイスをする気象予報士です。たとえば小売業に対して、店舗の担当者が発注する際の参考情報を提供したり、営業企画担当者の立てた計画が今年の気象条件にマッチしているかどうかアドバイスをしたり。メーカー企業へは、扱っている商品の気象要件との関係から今年の気象がそのメーカーにとって「追い風」か「逆風か」を判断し、時には商品企画のアドバイスをすることもあります。
■暑すぎる!この夏の商売のポイントは?
ひとことで言うと、「長い夏対策」がポイントです。今年は3月から暑かったことを覚えているでしょうか?その後、関東地方では統計開始以来はじめて6月に梅雨明けし、9月も残暑が続く見込みです。今年の夏はとにかく長い。半年ものあいだ夏が続くようなものです。今年は「長い夏」ならではの対策が必要になるのです。
一般的に気温が高いと食欲が落ち、ざるそばなどの冷たい麺類が良く売れますが、8月後半頃になると体が冬を迎える準備を始めるため、冷たい食べ物からスタミナ系、カレー、キムチなどへと食べたいものが変わります。今年は暑い期間が長いため、例年より早くスタミナ系のメニューを食べたくなるかもしれません。また、残暑が長く、秋が短いと予想されることから、夏のスタミナ系メニューから秋物メニュー、冬物メニューへのお客様の嗜好の移り変わりが例年以上にはやくなりそうです。今年の気象ならではの対策が必要です。
■気象×購買データ活用は「標準」になる
昔の株主総会では「天候不順のため業績不振」が決まり文句になっていました。しかし、モノ言う株主が増えたことで、「経営者として、天候不順のリスクを想定した対策を事前に準備しておくべきだ」という株主も増えてきました。気象データと購買データを正しく読み、リスクの幅を把握することが求められています。そのうえで対策を立て、天気予報が変わるのに合わせてアップデータしていくことでロスを最小限にすることができるのです。事実、先進的な企業は次々と気象データの活用に乗り出しています。今後この流れはどんどん進んでいくでしょう。
今年5月に私が出版した書籍『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)では、ある商品が売れ始める時期、売れなくなる時期を地図上に示した「商品前線」を紹介するとともに、商品部、営業企画部、店舗の店長など部署別に実践すべきことを具体的にしました。大量に売れ残った商品を廃棄するのはこの上なくつらいことです。一人でも多くの人に気象と購買データの知識があれば、そんな悲しいお話を減らすことができる・・・・・・そんな思いで執筆しました。
これからは、True Dataの全国5,000万人規模の購買データと、これを分析するデータサイエンティストとともに、購買データ分析に気象を軸とした分析の切り口を一層取り入れていきたいと考えています。これまでにない考え方で商品の特徴を分析する手法を提言し、廃棄ロスや販売機会ロスのない世界を目指します。来月このブログ内に「常盤のお天気マーケティング」を開設し、気象×購買データの情報を発信していきますので、ぜひチェックしてくださいね。