2023年10月より、ホームセンター「チャンピオン」、東北公益文科大学、酒田市産業振興まちづくりセンター(サンロク)運営協議会と当社が連携し、地域デジタル人材の育成とデジタル変革による地域事業者の生産性の向上を目指して、東北公益文科大学の学生にデータサイエンス教育を実施しました。学生がデータを読み解きながら、年末の掃除用品売場の売り上げアップを目指して売場づくりに挑戦し、その効果をデータで検証する、実践型の教育プログラムです。今回のブログでは学生が取り組んだプロジェクトの内容を紹介します。
当社は2019年に山形県酒田市とパートナーシップ協定を結んでおり、様々な形で連携しています。
■山形県酒田市とTrue Dataの連携について
2019年6月26日(水)、当社は山形県酒田市とデータマーケティングを活用した地域活性化に向け、パートナーシップ協定を締結しました。データマーケティングを活用し、酒田市内事業者の販路開拓等の事業展開のサポート、教育機関と連携した人材育成、市のオープンデータ等を活用した大手企業の実証実験を行い、酒田市内事業者及び地域の活性化を目指しています。
【概要】
プロジェクト型応用演習「POSデータ分析で売場改善」(東北公益文科大学 神田直弥教授)
学生がホームセンターチャンピオン酒田店のPOSデータ(売り上げ、価格等の購買データ)やTrue Dataの生活者ビッグデータを活用して、実店舗の売場づくりを提案。チャンピオン酒田店で実証実験を行い、その効果測定を行います。プロジェクトに参加した学生は16名。売り上げアップを目指し、マーケターになりきって2023年10月から2024年2月までの5カ月間奮闘しました。
2023年10月 データ分析を学習・グループワークの実施・店舗を視察
10月上旬、データ分析支援を担当する当社は、データサイエンティスト野村幸志郎によるPOSデータの見方・活用方法の講義を実施しました。学生は当社の購買分析ツール「ドルフィンアイ」「ウレコン」を使用して購買データの分析方法を学習。チャンピオン酒田店のPOSデータとTrue Dataの生活者ビッグデータを比較して、店舗の強みや強化すべき点などをディスカッションし、意見をまとめていきました。
⇑ True Data野村による講義
そして10月中旬、学生がチャンピオン酒田店を訪れ、店舗のレイアウトや商品の棚を視察しました。株式会社チャンピオンの髙橋社長や店舗スタッフの皆さんから「どのようなお客様が多いのか」など店舗の情報もヒアリング。買い物をするために店舗を訪れるのとは異なり、どのようにしたら商品を買ってもらえるか、売る側の目線で店舗を見るのは学生の皆さんにとってとても新鮮だったようです。
⇑ 店舗のことを学びました
⇑ マーケターの気持ちで売場を視察
2023年11月 ターゲットとするペルソナを決定
データ分析や店舗視察で得た情報をもとに検討し、今回の取り組みでは「平田地区に住んでいる50代から70代のご夫婦」をターゲットに、床掃除の商品を中心にアピールすることを決定。この年代の方は年末年始に子どもや孫が帰省するケースも多いことから、大掃除の買い物の際にお菓子を「ついで買い」してもらうアイデアも考えました。
軸となる商品を何にするのか、商品を置く棚はどのようにするのか、キャッチコピーをどうするのかなど、売場づくり企画の骨格を検討しました。
2023年12月前半 売場作りにチャレンジ
売場の立ち上げに向けて、特設コーナーの棚に置く商品の配置を詳細に決めたり、売場で使用するポップを手書きで作成したり――考えなければいけないことは盛りだくさん!そんな準備のまっただなかに、学生から「店舗で流す商品の紹介動画を作ったら良いのでは!」というアイデアが出てきました。時間がないなかで、動画の内容の検討や撮影・編集までを急ピッチでやり遂げ、無事完成。デジタルネイティブ世代のパワーを存分に発揮していました!
⇑ 売場開設に向けて熱のこもった議論も
⇑ ポップづくりにも挑戦
⇑ 「ついで買い」を促す売場が完成
⇑ PR動画も作りました!
2023年12月中旬~ 売場開設!実証実験がスタート
いよいよ学生が考えた売場を開設し、実証実験がスタート!2023年12月18日~12月31日の2週間のあいだ、チャンピオン酒田店では店内アナウンスでこの取り組みを紹介したり、学生が作成した動画を再生したり、折込広告も発行して、地域の皆さんに学生が考えた売場をアピールしました。さらに対象商品のポイント5倍キャンペーンも実施して販売促進に力を入れました。
⇑ チラシで売場を訴求
2024年2月 データで効果を検証!プロジェクトの成果はいかに!?
2月8日に行われた学生の最終報告会には株式会社チャンピオン 代表取締役社長の髙橋 芳秋様をはじめ、サンロク、酒田市企画調整課の皆さまが参加され、当社からは上席執行役員 越尾 由紀、データアナリスト野村 幸志郎,2名がオンラインで参加しました。
「掃除用品の売り上げ分析」「今回の棚に入れ込まなかった商品の売り上げの分析」「火災予防関連の売り上げ分析」「お菓子の売り上げ分析」について4つのグループから発表していきます。学生の緊張感がオンラインの画面からも伝わってくるようでした。
検証の結果は…
学生が考えた施策棚にある商品全体の売り上げは金額、個数ともに前年同期を大きく超えたことがデータから分かりました!掃除用品と合わせて買い替えを訴求した、消火器、延長コード・タップなども、施策棚に置いた商品の売り上げは前年同期を上回り、帰省するお孫さんを想定してこのコーナーに配置したお菓子は売り上げが前年同期と比べ伸長。狙った通りの「ついで買い」効果があったことがデータで確認できました。今回の施策対象としなかった他の掃除用品の売り上げを検証すると、洗剤の伸びが顕著であったことがわかり「年末の大掃除についてもっと深く分析し、そのうえで洗剤やカビ取りなどを中心とした売場作りをすることで、更に売り上げをアップすることができたのでは」という改善点も見えてきました。
結果的に、この期間のチャンピオン酒田店全体の売り上げは前年を上回ったそうです!
参加した学生の声
このプロジェクトに参加した学生からは
「データを読み取り、売場を作るのが楽しかった」
「自分たちの提案が形になったことに達成感を感じた」
という声があがり、このプロジェクトを楽しんでくれた様子です。
そのほか、
「お客様の目線の高さや、年齢層を配慮するなど、思っていたよりも深いところまで考え、売場作りをしなければいけないのが難しいと感じた」
「データをとり、分析することの大切や過去のデータをしっかり見ることは必要なことだと感じた。」
など、企業が売り上げを上げるためにデータを活用することがいかに重要かということや、マーケティングの難しさと面白さも知っていただくきっかけになったようです。
株式会社チャンピオンの髙橋社長は参加した学生に向け、「今回の取り組みの効果もあり、チャンピオン酒田店全体の売り上げが上がりました。参加いただいた皆さんのおかげだったと考えています。ありがとうございます!今回の取り組みを通して、データをもとに仮説をたて、分析・検証することは重要だと強く感じました。酒田市の人口が減っていくなか、皆さんに酒田市で活躍いただき、ともにいい酒田市を作っていきたい。」と、熱い思いをお話しくださいました。
東北公益文科大学の神田教授は「データマーケティングの有用性を、実データに触れて学ぶことができた大変貴重な機会だった」と振り返りました。
「成果がでたもの、でなかったものもデータがあるからこそ確認ができ、そこから次の課題に気づくというPDCAを学生が体験できた機会だったと考えています。」と話した当社上席執行役員の越尾は、短い期間でデータ読み込み・店頭視察・売場づくりを行った学生や関係者の熱意に感動したようでした。
このプロジェクトを通して、データを使ったマーケティングに興味を持つ学生がひとりでも増えたら嬉しく思います。当社はこれからも、教育機関と連携し、データマーケティング教育を支援してまいります。
最後に、プロジェクトに参加してくださった学生の皆さん、関係者の方々、本当にありがとうございました!!
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