PB商品の最新データから見えた!キーワードは「需要創造型」
~「リキュール類」「農産珍味」「のり」の共通点とは? ~

米国では成長率に約14%の差がついたPB市場

世界的な調査会社のニールセンが2018年5月、米国におけるNB・PB※市場に関するレポートを発表しました。

「プライベートブランド(PB)高価格帯商品の成長トレンド」

※日本語訳はこちら

レポートでは、米国におけるPB市場を5つの価格帯で分類しそれぞれの伸長率を比較しています。その結果、最も価格帯が高いグループは+6.3%、最も価格帯が低いグループは-7.4%と、成長率で約14%ほどの違いがありPB商品は流通小売における重要性を認識したと言及されています。

※NB(ナショナルブランド)・・・メーカーの自社ブランド
PB(プライベートブランド)・・・流通業者の自社ブランド

日本国内でも、私たちの生活でより身近に感じられるようになったPB商品ですが、価格の安さを売りにした商品だけでなく、健康、安心・安全、デザインなど新たな需要を生み出すPB商品が続々と発売されています。今回は日本国内のPB商品の伸長に着目していきます。

日本のスーパーマーケットで伸長しているPBカテゴリは?

当社が保有する購買データをもとに、スーパーマーケットにおけるPB商品のカテゴリ別売上金額を調査しました。前年と比べて最も伸び率が高かったのはリキュール類で前年と比べ2.7倍を売り上げています。

分析1:カテゴリ別PB商品伸長率TOP10

※(株)True Data ID-POS分析ツールEagle Eyeスーパーマーケット版より集計
※2017年度=2017年4月~2018年3月 2016年度=2016年4月~2017年3月

NB商品ではアルコール度数の高い「高アルコール飲料」が次々と発売されるなど、話題が多く、消費者にとって注目度が高いカテゴリであると考えられます。

分析1の結果に、平均単価の伸び率を加え、「売上金額伸長率・平均単価伸長率」で散布図を作成したものが下図の「分析②」です

分析2:カテゴリ別 PB商品伸長率(売上金額×平均単価)
横軸:売上金額伸長率 縦軸:平均単価伸長率 交点:100%(2017年度/2016年度)

図の右上が「売上金額・平均単価がともに伸びたPB商品のカテゴリ(前年同期比)」です。「リキュール類」「農産珍味」「のり」が他カテゴリよりも伸長率が高い結果となりました。これらは付加価値の高い商品で売上を伸ばしているカテゴリと言えます。

小売・メーカーが一体となった需要創造型のPB開発が加速する!?

上記3カテゴリ(「リキュール類」「農産珍味」「のり」)のPB商品を、個別に分析してみると、
(1) リニューアル品の売上が増加
(2) 新商品の売上が好調
という共通した傾向がありました。特にリキュール類では高アルコールを訴求したリニューアル商品の販売伸長が大きく影響していることがわかりました。
NB商品で活況な高アルコール飲料の需要をPB商品でも獲得したと考えられます。

需要を創造するために、消費者ニーズを最も近い距離で把握できる小売業と、ニーズを商品化するメーカーの協業はいまや必須です。今後さらに「需要創造型PB開発」の流れが日本国内でも加速していくのではないでしょうか。各カテゴリのPB商品動向がどのように変化していくのか、ますます目が離せないですね!
(True Data竹村 博徳)