気温が“北暖西並”傾向だった1月のカイロの購買動向

こんにちは。流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。2025年1月は、上空の寒気が西回りで南下することが多く、北日本では記録的高温、一方西日本ではほぼ平年並と、地域によって気候差が大きくなりました。地域による気候差が大きい場合、気温との関係性が強いカテゴリでも同様の購買動向差が見られるか、使い捨てカイロのデータを使って昨対比を計算することで検証してみました。

2024年1月と2025年1月の気温の平年差分布

まず、1月の気温の状況を2024年と2025年で比較してみます。気象庁発表の資料によると、2024年は全国的に気温が高めでした。東北地方では特に高めで、図表1(上)の日本地図の中では濃いオレンジ色となっています。

一方2025年(図表1(下))は関東以北で高温傾向、特に北海道の道東の一部ではかなり高温だったことが分かりますが、四国や九州、南西諸島では平年の値を下回る薄い水色の領域もあることが分かります。2025年1月の気温は、西日本で「平年並」、南西諸島では「低め」でした。

図表1 2024年1月(上)と2025年1月(下)の月間気温の平年差マップ (気象庁HPより)

使い捨てカイロの地域別購買動向

True Dataの購買行動分析ツール「ドルフィンアイ」では、カテゴリの購買動向を全国版のほか、地域別に閲覧することができ、データダウンロードも可能です。今回はその中から、北海道、東北、関東、近畿、九州の地域において、使い捨てカイロの購買動向を調べてみました。

図表2 地域別、使い捨てカイロの買物指数と気温の、2024年2025年比較
   ※買物指数:来店者100万人における購入点数

関東では2024年より2025年の方が月間気温が低かった割には、買物指数は2024年の方が高くなっています。それ以外の地方は全般に気温が低かった年の方が買物指数が高くなっています。買物指数が高かったのは、北海道と東北で2024年、近畿と九州では2025年でした。地域単位で気候差が反映された買物指数の違いになったことがよくわかります。

関東で、気温が低かった年と買物指数が高かった年が一致しなかったのは、年間で最も気温の低い時期である1月下旬の気温が影響している可能性があります。下旬の気温だけで比較すると、2024年1月の方が2025年1月より低めでした。

まとめ

気温との関係性が強い商品は、地域による気候差が大きいときもその違いを反映した売上の差が見られることが改めて確認されました。今後も、そのような商品を全国で展開する場合は、季節予報の中で地方によって予想される気温傾向に違いがあるかどうかもしっかり考慮した上で、在庫計画、配荷計画を策定することが重要であることがよくわかります。

※抽出データ                                   株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている「使い捨てカイロ」の月次の買物指数(業態:ドラッグストア、期間:2024年1月、2025年1月、データ抽出日:2025年2月14日)。

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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。