こんにちは。流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。春から夏にかけて、季節の進みにともない暑く感じる陽気が多くなる時期に、清涼感を求めてニーズが高まる涼味商品。今回はその中からめかぶについて、気温との関係を調べてみました。
めかぶの基礎知識※
めかぶとは、「わかめの根元部分」のことをいい、生殖細胞が集まった部位です。低カロリーで、ヨウ素、ナトリウム、カリウムなどのミネラルが豊富であり、特にフコイダンやアルギン酸という水溶性の食物繊維が多く含まれています。そのフコイダン(めかぶのヌルッとした成分)は、腸内環境を整え糖質の吸収を抑え、免疫力を高める働きがあるそうです。生のめかぶの市場への入荷は3月がピークだそうで、その頃が旬といえるでしょう。
めかぶの売上の年間推移
めかぶの売上時系列データを見ると、まさに旬の時期の3~4月頃売上が多くなり、12月の終わり(年末)週は一時的に売上が落ち込む様子がわかります。それ以外の時期はほぼ平坦なグラフで、季節による売上の上下はあまりないように見えます。
めかぶの売上と気温の関係
気温との関係をより詳しく調べるために散布図を確認したところ、気温との関係が少しあることが読み取れます。すなわち、売上の多い春先(3~5月)と、年末年始の週で売上が落ち込んでいると考えられる12月の一部のデータ以外にフォーカスして見ると、散布図中のプロットがゆるやかな右肩上がりの分布になっています。つまり、その関係性はゆるやかではありますが、”涼味商品”らしく気温が高いほど売上が伸びるという関係がありそうです。
まとめ
めかぶは気温上昇に伴う売上増加の傾きが比較的小さく、気温の低い冬季でもニーズがあり、季節によるニーズ差はそれほど大きくはありませんが、涼味商品として夏に向けて(気温上昇に伴い)売上を伸ばす商品であることがデータでも確認できました。暑さと湿度で体調管理が気になるこれからの季節、皆さんもめかぶ、いかがですか。
※抽出データ 株式会社True 株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている、「わかめ」「水産珍味」「その他加工水産」「その他海藻類」カテゴリ(業態:スーパーマーケット、期間:2021年6月7日~2023年6月4日、データ抽出日:2023年6月16日)のうち、商品名に「めかぶ」または「芽かぶ」の表記がある商品の週次の買物指数(買物指数は来店者100万人における購入金額)。
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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。