寒い時に売れるお酒は何?? 気温と売れ行きの関係まとめ

こんにちは。True Data流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。みなさん(20歳以上の)は日々の食事の際などにアルコール飲料を飲まれますか?それは毎日お決まりの飲み方ですか、それとも季節によって飲む種類を変えたりしますか。私は家で食事をする時にアルコール飲料を飲むことは少ないのですが、ビール類やワインは好きです。今回はアルコール飲料の分類に特化して、気温との関係を調べた結果をご紹介します。

アルコール飲料カテゴリについて

当社True Dataでは、食品→飲料・酒類の分類の中に、アルコール飲料という小分類を設けた分類体系を用いています。当社サービス「ドルフィンアイ」では以下の15のカテゴリが属しています。

気温と購入金額の関係

週別の買物指数(金額)と最低気温の週平均の相関係数を求め、ランキングで示したのが下表です。相関係数が正(プラス)であれば、気温が上がれば上がるほど買物指数も高くなることを、負(マイナス)であれば、気温が下がれば下がるほど買物指数が高くなることを示します。それぞれ+1と-1が最も強い相関を示し、相関係数が0.5以上または-0.5以下の場合は、はっきりとした相関関係があるとみなして良いでしょう。

表 アルコール飲料の分類の中での最低気温との相関係数ランキング
(※1 小数点以下第三位を四捨五入。また、「その他雑酒」と「その他アルコール飲料」はランキングから除外しています)

表によると、正の相関が最も強く、つまり気温が高い時に最も売れやすいアルコール飲料は「発泡酒」ということになります。そして負の相関が最も強く、気温が低い時に最も売れやすいアルコール飲料は「焼酎(乙類)」ということになります。限りなく0に近い「ブランデー」と「焼酎(甲類)」は、購買動向と気温は関係ないという意味になります。

少なくとも正の相関があるアルコール飲料は(それほど相関の強くないカテゴリもありますが)、冷やした状態で飲む機会が多いタイプのものがほとんどです。負の相関があるアルコール飲料は、常温あるいは温めて飲む人もいるタイプのものや、煮物料理など冬に好まれる料理のレシピに登場するものも含まれています。また、ワインや梅酒などが含まれる「果実酒」「甘味果実酒」は、負の相関関係があることも見て取れました。

これらの結果から非常にシンプルに考えると、ほぼ毎日アルコール飲料を飲んでいる家庭では、夏場の暑い時期は発泡酒を、冬場の寒い時期は焼酎を飲むという風景が多いといえそうです。

ここで注意しなければならないことがひとつあります。今回のデータでは、特定の時期に購入金額の急増が見られるデータをあえて除外していません。お盆休み期間と年末に売れるビール、父の日直前のブランデーの購入など、気象と必ずしも関係ないイベントや祭事などで購入金額が急増する場合があります。そして、そのために相関係数の値が低く抑えられている可能性があります。それも加味して参考にしていただければと思います。

アルコール飲料の、気温MDグラフ!

アルコール飲料の分類に特化し、気温と購入金額の関係性を、相関係数の値から図にまとめました。

同じアルコール飲料の中でも、カテゴリによっては気温との関係性に特徴があることが分かりました。この結果は、棚割りや品揃えもそうですが、これらのお酒にあったおつまみや料理メニューの提案にも参考になると考えます。是非、小売りの現場で活用いただきたいと思います。

※抽出データ                                   株式会社True 株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている、「アルコール飲料」分類(業態:スーパーマーケット)に属する各カテゴリの、週次(期間:2020年9月7日~2022年9月4日、データ抽出日:2022年9月17日)の買物指数(買物指数は来店者100万人における購入金額)。

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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。