2021年3月5日(金)に開催されたオンラインセミナー「スーパーマーケット×DX最前線2021」(運営:ロコガイド)に、当社の流通気象コンサルタント 常盤勝美が登壇しました。さまざな業界から110名を超える方にご参加いただいたセミナーの一部をご紹介します。
常盤はDX(デジタルトランスフォーメーション)におけるウェザーMD(マーチャンダイジング)の活用について、つぎのように語りました。
■ウェザーMDの基本的な考え方
気象の変化が、疾病の発症、食嗜好の変化、精神状態の変化など人体に与える影響を考慮し、販売方法や価格設定を戦略的に計画、管理に生かしていくことをウェザーMDと言います。
人が、「暑い」または「寒い」と感じるのはどんな時でしょうか。人が「暑く感じる」のは、体温の上がり過ぎを示すサインです。摂取カロリー(熱量)が多過ぎたり、体温が上がり過ぎている時や、体温に比べて外気の温度が上がった時に感じます。人は「暑さ」を感じている時には、体温を下げる食品、例えば低カロリー食材や、食感が冷たい食品、発汗作用のあるもの(辛い物)などを欲します。一方、人が「寒く感じる」のは体温低下を懸念するサインです。摂取カロリー(熱量)が不足したり、体温が下がった時や、外気の温度が下がった時に感じます。「寒さ」を感じている時には、高カロリー食材や、精神的な満足感を得ることができる甘い物、炭水化物などの食品を欲します。
■DXのなかでの活用方法
気象庁HPなどから、様々な気象データを無償で得ることができます。それらの気象データのなかで特に気温と天気に注目してみて下さい。体感温度は来店客のニーズを把握する重要な指標です。おおまかにいうと体感温度は、その日の気温、前日との気温差、風速・湿度・季節変化の影響などにより変わります。
もう一つの重要なポイントは天気、主に雨です。雨の強さにより来店客数は大きく変わりますし、降っている時間帯も重要です。「雨のち晴れ」の場合はむしろ夕方からの客足が増えることもあるのです。降りやむ時間まで考慮して計画を立てたいものです。
多くの企業・組織で行われているDXは、コスト削減につながる「守り」のDX=“効率化”が中心ですが、成長していくためには、新規顧客獲得など売り上げアップにつながる「攻め」のDXも重要です。ウェザーMDは、「守り」と「攻め」どちらのDXも実現する可能性を持っています。
■ウェザーMDのソリューション
ウェザーMDのソリューションには、当社と日本気象協会の共同プロジェクト「売りドキ!予報」があります。当社のPOSデータと気象情報を掛け合わせて需要予測を提供しているこのソリューションでは、どの商品が今「売りドキ」なのかを商品ごとに見ることができます。このソリューション以外にも購買×気象データ分析、「商品前線」などがあります。
ここで「売りドキ!予報」の活用例をご紹介します。スーパーマーケットで「売りドキ!予報」の情報をもとに、陽気に対応し、暖かい日に炒め物のメニュー提案※1を店内放送したところ、チンゲンサイ・アスパラ・かぶなど炒め物によく使われる野菜の売上が伸びました。また、暑い日、寒い日の需要予測をもとに精肉部門の棚割りを見直したことで、焼き肉用肉、しゃぶしゃぶ用肉※2の売上がアップしました。
※1:暖かい日には、炒め物具材、寒い日には鍋物具材が売れる
※2:精肉部門の需要予測情報をもとに暑い日には焼き肉、寒い日にはしゃぶしゃぶ肉が売れると予測し、 棚割を強化する実証を実施
最後に、常盤は、ウェザーMDの実践で実現できるDXについて、次のように提案しました。
「守り」と「攻め」のDXのために、是非ウェザーMDを積極的にご利用いただきたいと考えています。
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