今年、想像以上に盛り上がりを見せたことの1つ言えば、日本で開催されたラグビーワールドカップです。流行語大賞にも多くの言葉が選ばれたように、多くの人々が関心を寄せたことがわかります。
開催前から、ラグビーワールドカップを主催するワールドラグビーでは、試合開催地に対して、試合当日のビールを切らさないようにして欲しいという要望をしていたこともあり、どれくらいのビールが消費されるのかということに注目が集まっていました。
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会では、海外を含むラグビーファンのビールの「飲みっぷり」にも注目が集まる。静岡市のファンゾーンでは3日分のビールが一晩で底を突いたといい、九州最多の5試合がある大分県の関係者はビールの確保に奔走。28日のアイルランド戦で日本代表が大金星を挙げ列島が沸く中、県内の飲食店は普段の4倍の量を準備したり、巨大サーバーを用意したりと余念がない。
(西日本新聞『観戦のお供、ビールを切らすな! 大分の関係者 確保に奔走 ラグビーW杯』)
大分県によれば、JR大分駅南側のファンゾーン(大型ディスプレイが設置されて、試合のライブ中継を見ながら、ビールや食事ができる場所)で、14日間でビール2万745リットル(500ミリリットルカップで4万1,490杯分)を提供したそうです。特に、大分で準々決勝イングランド-オーストラリア戦があった日には、来場者の約9割を外国人が占め、約4,200リットル(同8,400杯分)と、大量のビールが飲まれたそうです(大分合同新聞『大分市のラグビーW杯ファンゾーン、ビール消費量2万リットル超』)。
スポンサー ハイネケンの売上は?
「ハイネケン」(国内ではキリンが製造販売) は、1995年から過去5大会にわたってラグビーワールドカップのスポンサーです。大分県の設置したファンゾーンだけでなく、すべてのファンゾーンでは、ハイネケンが独占販売されました。
日本全国におけるハイネケンの売上はどうだったのでしょうか?
日本代表が大活躍し、決勝トーナメント進出を決めた10月におけるハイネケンの売上動向を、全国5,000万人規模の消費者の購買データを活用した「Dolphin Eye」を利用して、調査しました。
市場シェア上昇ランキングにおいて、昨年10月と比較して、 4.05ptも上昇しています。
ハイネケン 350mlの昨年1年間の売上比較は、次のようになります。ワールドカップが始まった9月から急激に売上を伸ばしています。
ビール全体の売上ランキング(2019年08月12日~2019年11月03日)も見ても、多くのナショナルブランドがひしめく中、8位にランクインしています。
優勝した南アフリカのビール消費は?
今回の決勝戦で戦ったのは、南アフリカとイングランドでした。多くのサポーターが試合に合わせて来日したそうです。試合は、南アフリカが勝利して、3回目の世界一に輝きましたが、ビールの消費はどうなのでしょうか?
「キリンビール大学」レポートの2017年 世界主要国のビール消費量によれば、国別一人当たりの消費量では、南アフリカ 32位、イングランドを含むイギリスは23位とイングランドが勝利したようです。
「ラグビーの強い国は、ビールの消費量が多い」といわれることもあるため、ラグビー世界ランキング(11 November, 2019) と「キリンビール大学」レポートを比較すると、以下のようになりました。意外に、ラグビーの強さとビールの消費量には関連性がないようです。
国名 | ラグビー世界ランキング | 1人あたりのビール消費量 |
南アフリカ | 1位 | 32位 |
ニュージーランド | 2位 | 27位 |
イギリス | 3位、4位、5位、9位 | 23位 |
アイルランド | 5位 | 6位 |
オーストラリア | 6位 | 22位 |
日本 | 8位 | 50位 |
米国 | 17位 | 6位 |
ロシア | 20位 | 33位 |
(イギリスには、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドが含まれ、ラグビーのアイルランド代表は、アイルランドと北アイルランドの合同チームのために、イギリスとアイルランドのビール消費量については、注意する必要があります)
来年には、東京オリンピック/パラリンピックが開催されますので、イベントにちなんだ大きな消費動向の変化が見られるかもしれません。