セミナー報告:『2018 交通広告活用セミナー 〜 新たな価値と効果を生み出す 進化する交通広告のミライを読み解く』

2018年9月11日、都内で株式会社オリコムと『2018 交通広告活用セミナー 〜 新たな価値と効果を生み出す 進化する交通広告のミライを読み解く』を開催いたしました。

1928年に日本で初めて交通広告を事業化したオリコムは、全国の交通媒体社との強い関係を持ち、交通広告の分野で日本トップクラスの取扱実績があるリーディングカンパニーです。今回、オリコムと当社は、より効果的に生活者の購買意欲を促す「体験型交通広告」の最新事例や、ID-POSデータを活用した「広告効果検証スキーム」「改善策の立案方法」など、最新の交通広告の動向を紹介しました。

第1部では、「テレビ・インターネットに次ぐ第三のメディアOOHメディアの最新トレンド」と題して、デジタルサイネージコンソーシアム 理事でありオリコム OOHメディア局 シニアディレクター 吉田 勝広 氏が、OOH広告(交通広告+屋外広告)の最新トレンドについて事例を中心に解説しました。

第2部では、当社からデータマーケターの船越万史が登壇し、株式会社オリコム 戦略営業部 担当部長 松木 陽介 氏とともに、「ID-POSデータで読み解く交通広告の効果」と題した対談を行いました。ID-POSデータ「True Data」を活用することで、交通広告が「ターゲットに対してどのように商品の購買に寄与したか」を、実際に掲出された事例の分析結果をもとに解説。オリコム独自の交通広告の効果測定手法も紹介しました。

このブログでは第2部の講演を中心にレポートします。

まず、船越は当社が保有する全国約6,000店舗/5,000万人のドラッグストア、スーパーマーケットでの消費者購買情報である日本最大規模のID-POSデータ「True Data」を、最新の事例を交えて紹介しました。

株式会社True Data データマーケティング部 次長 船越 万史

その後に、松木氏からこれまでの交通広告の効果検証手法について説明がありました。クライアントから「どうやって効果を測ればいいのか?」と質問を受けることが多いそうです。デジタル広告の浸透に伴い、厳密に効果を説明する機会が増えているとも述べました。

株式会社オリコム 戦略営業部 担当部長 松木 陽介 氏

「広告の効果には、さまざまな用途や機能があります。知ってもらう、理解を深めてもらう、ファンになってもらう、ネット拡散してもらうといったことです。最終的にモノを販売していくプロセスの上で、交通広告が一端を担うことになります。用途や役割に応じて、測定する方法はさまざまです」と松木氏。

今まで採用されてきた効果測定の手法としては、広告がどれくらい伝わったか、どのように伝わったか等をインターネット上でアンケートをとることが多かったそうです。オリコムでは、10年以上に渡り、オリコム独自調査『交通メジャー』というサービスで、キャンペーンごとに次のような項目を測定および評価してきたそうです。

  1. 交通広告キャンペーン認知
  2. クリエイティブ評価
  3. 他媒体広告認知
  4. 交通広告認知後の行動
  5. 商品への興味関心度

詳細は、こちら  https://www.oricom.co.jp/special/major/index.html

さらにクライアントから、実際に売れたかどうかを聞かれることが多いため、交通広告がどれくらい売上に寄与したかをID-POSを活用し検証するために、当社の「True Data」を活用することになりました。

続いて、実際の交通広告とID-POSデータを活用した事例を紹介しました。

ターゲットを意識した効果的な交通広告が売上に寄与

最初の事例は、大手加工食品会社の「わさびA」です。
まず、ID-POSデータを活用して、どのような人たちに購入されているかを分析しました。
「わさび・からしカテゴリで特徴的なのは、1年でもっとも売れるのが12月であることです」(船越)。

理由は、あるメーカーによれば、年末の大掃除で冷蔵庫を整理するときに、賞味期限が切れているのを見て、スーパーに買いに行くという購買行動によるものとのことです。

『わさびA』の2年間の売上動向を見ると、右肩上がりで成長しています。通常のわさび・からしカテゴリを購入する購買層と比較すると、40〜50代が多いことが分かりました。時間帯は、17時以降に売れ行きを伸ばしています。「おそらく、これは今、働いている年代層が多いことの結果ではないか」と船越は解説しました。

このような特徴を持つ『わさびA』に対して交通広告を行いました。

交通広告では、使い方(レシピ)提案広告(わさびをのせた肉を醤油につけて食べるクリエイティブ)をJRや関東・関西・名古屋の私鉄に出稿し、同時期のマスメディア展開はしていませんでした。

ID-POSデータを利用して、出稿期間前後を含めて売れ行きを分析すると、出稿期間中の売上が伸びたことが分かりました。販売単価を下げることなく、売上を伸ばしたようです。一方、同時期における競合商品を見ると、売れ行きが伸びている期間は販売単価が下がっており、値引きキャンペーンによって売上個数が伸びていたことが見て取れました。

つまり、「『わさびA』は、単価を落とさずに売上を伸ばしたという非常によい結果を達成しました」と船越は評価します。また、売れ行きに影響を与える別の指標である配荷率(商品が配荷されている比率)についても、同時期には大きな変化はなかったことからも、
「交通広告が寄与したことが分かると思います」と松木氏。

さらに、出稿期間前、出稿期間中で男性の中でどのような年代層が売れているかを分析したところ、20−30代の年代層が売上を伸ばしたことが分かりました。女性について同様に分析すると、30代後半から40代前半が売上を伸ばしたようです。

松木氏は「20−30代の男性だと通勤で電車に乗る人も多く、交通広告が非常に効果的である属性です」と補足します。

クライアントも若い男性の取り込みができたということで満足されていたそうです。

使い方(レシピ)提案広告の結果を分析するために、『わさびA』を一緒に何を購入したかを調べました。国産牛と一緒に買われた割合が高まり、輸入牛と一緒に購入された割合には変化がありませんでした。競合商品については、大きな変化が見られなかったことからも、提案型広告で狙った「食べ方」の組み合わせで購入されたことが分かります。

このように売上動向を合わせることで、さまざまな広告の提案が想定できると、松木氏は話します。

続いて、栄養ドリンク剤の事例を取り上げ、沿線を軸とした広告実施・非実施エリア別での分析や立地別での分析など、シンプルですがテレビにはない交通広告の効果を紹介しました。

これらの事例に限らず、オリコムではクライアントから、エリアごと、路線ごとに絞った広告展開について、相談をいただくことが多いそうです。

「交通広告に対して長年の実績と経験を持つオリコムは、実際の購買データ(ID-POS)「True Data」と組み合わせて、効果検証も含めたノウハウを持っているので、ぜひ、お声がけして欲しい」と松木氏は述べ、当日のセッションを終了しました。

当社では、ID-POSデータを活用いただくことによって、より効果的な交通広告の展開を支援してまいりますので、よろしくお願いします。