セミナーレポート:『マネジメントのための販促データ2.0~成功している会社がやっている「C→A→P→D」とは?~』

8月2日(木)都内にて、株式会社SPinno と当社の主催で、販促をワンランク成長させ、成果が見える施策を打つために、取るべきデータとその活用方法について紹介するセミナー

『マネジメントのための販促データ2.0~成功している会社がやっている「C→A→P→D」とは?~』

を開催しました。

SPinno社からは、『SPinnoでこんなこともできる!?クラウド上に蓄積したデータの生かし方』と題して、販促の企画の立て方、販促業務の効率化などを中心に、販促活動における課題もデータを活用して、課題の本質を見つけて、解決に向けてPDCAサイクルを回す手法を解説しました。

当社からは、データーマーケターの船越万史が登壇し、『ライバル社と差がつくデータ活用と販売促進』と題して、購買データから見えてきた購買情報を例として取り上げながら、根拠にもとづき、売り上げに貢献し、時間をかけず、顧客インサイトを突いた販促施策に生かすためのデータ活用法を紹介しました。

今回はこの講演の内容をレポートします。

ID-POSデータとは?

第一部のSPinno社の講演を受け、登壇した船越は、まずTrue Dataが、全国のドラッグストア、スーパーマーケットなどの消費者購買情報を統計化した日本最大級の標準データベースであること、全国延べ5000万人規模の購買情報から構成され、性別、年代情報をカバーしていること、そして、全国の企業だけでなく、最近は国の機関とも取引がでてきたことなど、最新情報を踏まえた特徴を説明しました。

このTrue Dataのもととなっているのが、ID-POSデータです。ID-POSデータとはID番号がついたPOSデータのことで、ポイントカードなどを使って店頭で買い物をした販売実績データです。

ID-POSについての詳細は、このブログでは割愛しますが、当社ブログにID-POSについての入門記事がアップされていますので、ぜひご覧ください。

リアルな購買データとインターネット上の情報

船越によれば、「インターネットで話題になっていることが、リアルな購買とリンクしているのではないか」という質問を受けることがたびたびあるそうです。しかし、実際の購買データを紹介することで、必ずしも一致しないことを説明しました。

例えば、あるインスタント食品では、インターネットで商品Aについての検索すると、掲載ページ数は、商品Bという商品についての掲載ページ数よりも、かなり多いにも関わらず、実際の売上データでは、商品Bが商品Aよりも売上が上位であることを具体的に示しました。

さらにデータを分析した結果をみせ、商品Aは、50代を越えると購買が減るが、商品Bは、40-60代の方々が中核で購入していることを紹介し、もし商品Aが50代に響くような取り組みを行えば、市場シェア1位になる可能性があることを解説しました。

このようなID-POSの活用方法を、身近な食品を利用して紹介したことで、多くの参加者のみなさんには納得していただいたようです。

次に、さらに詳しいID-POSの活用方法の例として歯磨き粉を取り上げ、購買者数、一人あたりの購入金額、購入率や来店者数などに売上を分解して、いくつかのヒット商品の特徴を示すとともに、各商品ごとに課題を示しました。

他にも、来店者のうち商品を購入した人の割合(トライアル率)と、2回以上の購入をした人の割合(リピート率)について分析する「トライアル・リピート分析」、リピーターの多さを示すリピート率の高さ=ロイヤリティ(Loyalty)を軸に加えたABCL分析を、事例を交えて解説しました。

トライアル・リピート分析では、40年以上販売が続くロングセラー商品を取り上げ、商品Cは60-80代が購買の中核層であることを示して、「今後、もっと若い世代への取り組みを強めないと商品としての販売が危機に陥ること」などを指摘しました。この商品は、来年、再来年に向けて、もっと若い世代へどのようなプロモーション施策を打っていくべきかを考える時期にきていることを示しています。このように、どのような施策を企画すべきであるか、データ分析からそのきっかけがつかめることを話しました。

高アルコール飲料を買う女性の購買傾向

当日もっとも注目を浴びたデータの1つは、先日もブログで紹介した、「高アルコール飲料を買う女性の購買傾向」です。

船越は、「2017年の日本酒造組合中央協会のプレスリリースによると、お酒を飲む女性は増加傾向にあり、2017年には7割を超えています。そこで女性が実際に購入しているアルコール飲料を「True Data」で見てみました」と切り出しました。スーパーマーケット、ドラッグストアで女性に売れているアルコール類のナンバー1は、実は低アルコール飲料ではなく、意外にもアルコール度数が9パーセントと高い「-196°Cストロングゼロ」でした。

※True Data スピリッツ、リキュール類(ビール系飲料除く)女性 ABCL分析 2018年1月~2018年5月データ

スライドの「ストロング傾向値」という指標は当社の造語です。このメーターの針が右に振れるほど、ストロングゼロを買う人が購入する傾向が高い商品であることを示します。

さらに船越は、「-196°Cストロングゼロ」のような高アルコール飲料を買う女性が、その他どんな商品を購入しているかなどの興味深い分析結果を示しました。例えばコスメですと、洗顔の必要もなく朝のスキンケアが完了する、「サボリーノ」という商品名のオールインワンパックを購入しています。

これらの分析結果には、当日参加いただいていた多くの女性参加者にも興味をもっていただけたようです。また、True Dataを利用した新しい取り組みとして、購買データと位置情報データを組み合わせた新しい分析も、興味深かったようです。

最後に、船越は、これらの分析を簡単に紹介できるツールの1つとして、商談や社内外の会議、経営判断などの現場で「使える」情報をスピーディに表示するビッグデータ活用ツール「Dolphin Eye」を紹介し、セッションを終了しました。

今後も様々な企業と協業し、このようなセミナー等を通じて、マーケティング活動に有益な情報を提供してまいります。